長老ニュース

月別アーカイブ: 2014年1月

【No.84】病気のし難い家づくりを

北海道は重篤な病気に成り難い地域

「住まいと健康」との言葉は多く耳にすることがありますが、何をもって「健康住宅」だといい切れる確たる定義付けなどはありません。住宅供給業者は、それぞれが自分の尺度で「健康住宅」をアピールしているのが実情です。
 省エネ目的の、いわゆる「高気密・高断熱」といわれる家づくりは、まさに健康空間保持に大きく貢献していることが色々なエビデンスで解って来ました。
 北海道は、高気密・高断熱住宅の発祥地です。氷点下20℃以下にもなる北海道では、うっかりすると凍え死んでしまう場合があり、必然的に高気密・高断熱住宅が建築されるようになりました。
 家の温熱性能で、脳卒中などの大きな後遺症をもたらす脳疾患発生率が、都道府県のなかで北海道がもっとも少ないとの調査結果がクローズアップされるようになりました。北海道は、脳疾患などで死亡や寝たきりや重篤な後遺症を発する患者数が最も少ないとの調査結果があります。寒さ対策のために行った高気密・高断熱で部屋ごとの温度差が少なくなり、ヒートショックなどの身体的ストレスがなくなるからだと云うことです。

本州の高気密・高断熱は過剰設備か

 このヒートショックを要因とした疾患は、温暖地になるほど多くなる傾向にあるようです。省エネのための住宅は、必然的に暖房空間と非暖房空間の温度差を小さくしています。北海道の高気密・高断熱住宅は、部屋ごとの温度差が5℃程度なのですが本州の家は10℃以上に及びます。筆者は北海道に自宅があるのですが、全国各地に家づくりを行う仲間達がおり、北海道から九州まで飛び回る機会が多くあります。
img_illust01 本州で平均気温が最も高い宮崎県に出掛けると、真冬に体調を崩す場合が多くあります。外気6℃の時、訪れる家の中の室温が15℃程度、オフィスも15℃、ホテルの部屋も15℃、つまり身体が温まるひまがありません。
 暖房している部屋から廊下に出ただけでブルブルッと寒気を感じますが、このまま外気に晒されるとカラダが芯から冷えてしまいます。
 また、身体が冷えた状態で入浴する、夜中にトイレに行くなどの行動で脳疾患、心疾患などを発症する確率が高くなるのは肯けるのです。家を丸ごと断熱材で包むことは、暖房・非暖房の部屋の温度差を小さくし、脳疾患・心疾患などの発症を防ぐのです。

省エネ住宅は健康住宅となる

エアコン熱も輻射熱になる

 「健康住宅」とは、病気に成り難い家のことですが、高気密化、高断熱化と蓄熱容量を多くすることが有効です。また蓄熱量(熱容量ともいう)とは、エアコンなどの暖房機、窓から入る日射熱などが、断熱材の内側の構造部材、内装部材、家具などに吸収された熱のことです。部材に吸収された熱は、床面、壁面、天井面から輻射熱(遠赤外線とも云う)として放射されます。
 この輻射熱は、エアコンなどの対流熱と異なり、カラダの芯まで温まることから薄着で氷点下の外部に出て行ってもブルブルっとした寒さをあまり感じません。温泉効果と言う人もおります。しかし、この様な効果はただ熱容量を多くしても意味がなく、高気密・高断熱性能が伴っていることが前提です。もっとも断熱と気密の性能が伴っていると熱容量を意識しなくとも、内装材や家具などでも相応の輻射熱を放出するものです。

アレルギーや気管支炎、糖尿病予防にも
 
img_illust02 公衆衛生学者の先生が行ったアンケートの結果では、高気密・高断熱住宅に住むと気管支炎やアレルギー疾患、更には糖尿病にも成り難いというデータがあります。気密・断熱性能の悪い家は、暖房空間と非暖房空間で温度差が発生し界壁が露点温度になると素材がガラスであれば見える結露になります。界壁を構成する木材・建材などは、表面には結晶せずに含水量を増やします。つまりカビの胞子の生産場所になる場合があります。界壁の黒ずんだ染みのように見える汚れの多くはカビの胞子の姿です。
 糖尿病との関わりについては、決定的な根拠はないのですが住んでいる人の運動量だとする説が有効です。家の中が寒い場合は、暖房している部屋から出る機会が必然的に少なくなります。コタツに入ったままじっとしている時間が多くなるような状態です。断熱住宅の中での自然な運動量が糖尿病予防にも、つながっているのかも知れません。また、温熱性能に特化した住宅を供給している筆者のグループや同じような住宅供給グループにも、家族間の融和に貢献した例や子宝に恵まれたという報告が多くあります。
 現在、私達は一般社団法人「健康・省エネ住宅を推進する国民会議」の事業に参加し、国と地方自治体の協力を受けながら医師、建築学者などと一緒に調査研究、啓蒙活動を行っており、調査研究の結果は、「ファースの家」のハードに生かして行きます。

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